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このカテゴリでは、情報処理技術試験とITの基礎知識として、様々な技術についての紹介を行っています。
今回はネットワークの通信機器である、
- リピーターハブ:物理層
- ブリッジ(スイッチングハブ):データリンク層
- ルーター:ネットワーク層
の違いについて、紹介します。
ネットワークを理解するためには、必ずOSI基本参照モデルと照らし合わせながら理解してください。
情報処理技術者試験のシラバスにおいては、基本情報技術者試験(Lv.2)、応用情報技術者試験(Lv.3)のほかに、高度情報処理技術者試験として、
- ネットワークスペシャリスト試験(Lv.4)
- 情報処理安全確保支援士試験(Lv.4)
- エンベデットシステムスペシャリスト試験(Lv.3)
- システム監査技術者試験(Lv.3)
- システムアーキテクト試験(Lv.3)
- ITサービスマネージャ試験(Lv.3)
で出題範囲となっています。
目次
リピーターハブの基本動作【第1層 物理層】
リピーターハブは単なる中継器
リピーターハブは単なる中継器です。
分岐や延長といった単体の機能だけを持っており、何かを考えて行動するような機能は一切持っていません。
リピーターハブが信号に加える操作としては、信号の増幅程度と波形整形です。
LANケーブルは長くなるほど信号が減衰します。
また、長くなるほどノイズが混入します。
そのため、リピーターハブでは信号増幅程度やノイズの除去による波形の整形の処理をします。
だからといって、信号そのものを復元するだけであり、特殊な処理は行いません。
ネットワーク混雑の問題
リピーターハブは、単純な機能しか有していないので、ネットワークの混雑の問題が生じやすいです。
実際、家庭内でインターネットを使っていても、他の誰かが利用していていることを気にせずに使っているでしょう。
しかし、LANケーブルを使用してネットワークを共有していますから、他の誰かと通信タイミングが重なると、データの衝突が発生し、データの破損が起こり通信が失敗します。
このため、CSMA/CD方式やトークンパッシング、TDMAなどの衝突防止技術が使われています。
この衝突防止技術は適度に作動するのはデータ送信の信頼性向上に役立つのですが、あまりに作動回数が多いと、再送によってスループット(実質的な送信データ量)が低下します。
そのため、接続機器が増えるほど、ネットワークの混雑の問題が顕著になります。
例えば下の図で、
- A→B
- C→D
の通信が同時に発生したとしましょう。
Aがデータを送信すると、ネットワーク内全体に送信データが流れます。
これを検知したCは、データ衝突による破損を避けるため、Dへの送信を待機します。
そして、AのデータがBに届き、CやDがAの送信データを破棄し、通信完了になります。
イメージできると思いますが、無駄なデータが流れ、データの破棄や送信待ちが発生するので、ネットワークのパフォーマンス的な損失が大きいです。
図中には記載していませんが、AとCが見事に同時に送信した場合、ネットワーク内でデータの衝突が発生し、AとCの両方の送信データが無効になります。
特にCSMA/CD方式(一般的に使用されている方式)で発生する可能性が高く、この場合にはAとCがランダム時間待機後に再送を行います。
つまり、図中では衝突を避けるためにCが遅れて送信していますが、実際には、
- データの衝突(送信データの破損)
- ランダム時間の待機
- 再送
のプロセスがあるので、かなりの遅延が生じています。
ブリッジ【第2層 データリンク層:MACアドレスを使用】
ブリッジは、ローカルネットワークの分割を行う機能を持っています。
データの衝突を避けるための通信機器
家庭内でインターネットを使っていても、他の誰かが利用していていることを気にせずに使っているでしょう。
しかし、LANケーブルが1本の場合、他の誰かと通信タイミングが重なると、データの衝突が発生し、データの破損が起こり通信が失敗します。
そのため、ブリッジを使って、コリジョンドメインという形でローカルネットワークを分断し、データの流れる領域を制御します。
コリジョンドメインへの分割
ブリッジでは学習機能があり、自身の周辺に存在するパソコンなどの通信機器(ノード)のMACアドレスを記憶できます。
そして、それをコリジョンドメインとして分割しています。
ブリッジは、学習したMACアドレスをもとに、送信先がどのコリジョンドメインに属するかを判断でき、関係のないコリジョンドメインにはデータの転送を行いません。
これによって、回線の混雑率を緩和する機能を持っています。
では、リピーターハブと同じ状況を見てみましょう。
以下、ブリッジのことをスイッチングハブと記載しますが、同じ意味です。
理由については後述します。
スイッチングハブは、接続されている端末のMACアドレスを認識し、コリジョンドメインとして分離しています。
そして、
- A→B
- C→D
の通信が同時に発生したとします。
Aから送信されたデータはB宛てであり、CやDには不要です。
そこで、図中の×で示した部分で、ネットワークを遮断します。
そうなると、CやDの回線にはAのデータは流れませんから、CがDにデータを送信しても、データの衝突による破損は生じません。
つまり、CはDに送信可能です。
このように、ブリッジによるコリジョンドメインの分離によって、異なるコリジョンドメイン間(ここではA・Bの組とC・Dの組)で、同時送信が可能になります。
リピーターハブよりも、ネットワークのスループットが向上します。
ブリッジとスイッチングハブの違い
ブリッジと似たものとして、スイッチングハブがあります。
ブリッジとスイッチングハブの違いを調べている方もおられると思いますが、機能はほぼ同じです。
- ブリッジ:ソフトウェアで処理→相対的に遅い
- スイッチングハブ:ハードウェアで処理→相対的に速い
という程度の違いです。
厳密には、ブリッジはソフトウェアレベルなのでセキュリティ面での心配があります。
ハードウェアで動くスイッチングハブは、セキュリティ面で比較的安心です。
今では市販されているものはほとんどが高速なスイッチングハブですし、ブリッジとの違いを考えすぎるのも時間の無駄のように感じます。
参考に、情報処理技術者試験で、ブリッジとスイッチングハブの違いを問われることはないと思います。
情報処理技術者試験で求められることは、
- リピーターハブ
- ブリッジ(スイッチングハブ)
- ルーター
の違いについて、OSI基本参照モデルに照らし合わせ、それぞれの役割を説明でき、ネットワーク内において適切な配置ができることだと思います。
もし、上記の機器の違いが説明できるという方は、知識量としては十分なものと思います。
逆に、違いが判らない方は、ネットワーク機器を必ずOSI基本参照モデルと照らし合わせて理解してください。
情報技術の参考書は分厚いですが、OSI基本参照モデルの概念部分を理解できれば、あとは問題を解くごとに自然に実力はつくと思います。
ルーター【第3層ネットワーク層:IPアドレスを使用】
最後にルーターです。
ここまでの内容をまとめると
- リピーターハブ:物理層
- ブリッジ(スイッチングハブ):データリンク層
- ルーター:ネットワーク層
となります。
ルーターは自宅の門番
ルーターは、ネットワークを区切るものです。
そして、ブリッジよりも上位の階層に存在するルーターは、ブリッジの機能も内包しています。
例えば、世界向けのオープンなネットワーク(インターネット)の世界では、自宅内のネットワークを世界につなげる役割を持ちます。
極端な表現ですが、各家庭ネットワークや企業のネットワークの出口にルーターがあり、ルーターの集合体がインターネットのイメージです。
表現を変えるなら、ルーターは、各家庭や企業のネットワークをつないでいると考えるとわかりやすいでしょう。
ルーターの持つIPアドレスは、ネットワークを識別するためのアドレスであり、データの行き先として機能します(ネットワーク層としての動作)。
一方、ルーターのMACアドレスは、隣接するルーター間の通信に利用されます(データリンク層としての動作)。
ルーター機能のイメージ的には、
- 宛先IPアドレスに対し最も最適な経路を選択
- 経路上で自身の隣にあるルーターを選択
- 対象ルーターのMACアドレスを指定しデータを転送
を繰り返しています。
ルーターはネットワーク層の機器であると説明されることが多いですが、IPアドレスを使うのはあくまで行き先までの経路設定の時だけ。
ルーター間の転送は、下の階層に当たるデータリンク層によって通信をしています。
ブリッジとルーターの役割の違いについて、下の図にまとめてみました。
ルーターの中にブリッジがあります。
まとめ
ここまで、リピーターハブ/ブリッジ・スイッチングハブ/ルータの違いについて紹介してきました。
長々と書きましたが、最終的には、
- リピーターハブ:物理層
- ブリッジ(スイッチングハブ):データリンク層
- ルーター:ネットワーク層
ですべてがまとまる内容になっています。
すっきりしない方は、OSI基本参照モデルの解説も参考にしてください。
以上、リピーターハブ/ブリッジ・スイッチングハブ/ルータの違いについて、参考になれば幸いです。